fabufujiのブログ~独断と偏見の歌舞伎劇評~

自分で観た歌舞伎の感想を綴っています

片岡亀蔵急逝・・・

昨日、驚愕すべきニュースが飛び込んで来た。片岡亀蔵が、訪れていた友人宅で火事に巻き込まれ、亡くなったと云う。享年六十四歳であった。当然の事乍ら全く予想だにしていなかった事である。ニュースを見た時に思わず大声をあげてしまい、家人に驚かれてしまった。無念以外の言葉が出てこない。兄市蔵の心中を思うと、居た堪れない気持ちである。

 

十月は御園座に出ていたとの事であるが筆者は観ていないので、八月の納涼歌舞伎における野田版「研辰の討たれ」でからくり人形と番五郎を演じていたのが、私が観た亀蔵の最後の舞台姿になってしまった。出は短い乍ら総てを持って行ってしまう怪演で、強烈なインパクトを残すものであった。来月筆者も観劇予定の南座顔見世で、「俊寛」の瀬尾を演じる予定であった。また亀蔵独特のアクの強い手強い瀬尾が観れるのを楽しみにしていたのだが・・・。亡き勘三郎が最も信を置いた役者であり、何でも出来る貴重なバイプレーヤーとも云うべき存在の優であった。ご家族のお哀しみは当然の事乍ら、歌舞伎界の損失も計り知れない。

 

平成中村座における諸役を始めとして、「らくだ」の馬太郎などは抜群の面白さであったし、「髪結新三」では善八からおかくの様な女形もこなし、それぞれ必ず独自の爪痕を残す名優であった。彌十郎や門之助、孝太郎など役者仲間からも続々と惜しむ声が聞かれ、その芸だけでなく人柄も慕われていたのがよくわかる。本当にやり切れない思いである。事件の詳細に関しては報道されている以上の事は判らない。病気などではなかったので、本当に何とかならなかったものであろうか・・・信じたくない気持ちで一杯である。

 

しかし今はただ、故人の御霊の安らかならん事を祈念するのみである。一代の名優四代目片岡亀蔵その舞台姿を、筆者は決して忘れません。謹んでご冥福をお祈り致します。合掌・・・。