fabufujiのブログ~独断と偏見の歌舞伎劇評~

自分で観た歌舞伎の感想を綴っています

私が観た令和四年歌舞伎 極私的ベスト10

明けましておめでとうございます。気儘に綴って来たこのブログも、丸五年になりまた。今年もマイペースでゆる~く更新して行くつもりです。毎年恒例の極私的年間歌舞伎ペスト10を書いておきます。これこそまさに独断と偏見、自分の好み全開のセレクトになっております。鷹揚のご見物の程、お願い申し上げます。

 

まずベスト10の前に別格の公演を二つ。

 

十一月吉例顔見世大歌舞伎より『勧進帳

高麗屋襲名の時も別格扱いとした襲名公演。やはり特別なものなので、別枠にします。團十郎幸四郎猿之助と花形揃い踏みの『勧進帳』。これから何度でも観たい狂言です。またどこかの襲名公演で團十郎の弁慶を観たいと願っています。

 

十一月吉例顔見世大歌舞伎より『助六由縁江戸桜』

師走公演の方でも良いのですが、團十郎菊之助松緑とやはり花形が揃った十一月公演をセレクトしておきます。絶品とも云うべき素晴らしい助六でした。

 

ではまず第十位。

六月博多座大歌舞伎より『鷺娘』

いきなり舞踊ですが、菊之助の本公演初役の『鷺娘』。この世の者とは思えない美しさ、儚さ。夢の様な時間でした。歌舞伎座でも観たいものです。

 

続いて第九位

南座坂東玉三郎 特別公演より『東海道四谷怪談

大和屋は当然として、愛之助伊右衛門が素晴らしく九位にランクイン。今後の愛之助の持ち役になると確信しました。大和屋の力が愛之助の芸を引き出していたのだと思います。

 

第八位・七位・六位を続けて発表

 芸術祭十月大歌舞伎より『鬼揃紅葉狩』

南座吉例顔見世興行より「封印切」

御園座坂東玉三郎 特別公演より『本朝廿四孝』

令和の名コンビ幸四郎猿之助の昨年のベストは『鬼揃紅葉狩』。見事な舞踊劇でした。続いて南座顔見世の「封印切」。去年の鴈治郎のベスト。年末にいい芝居か観れました。そして大和屋の『本朝廿四孝』。昨年は大和屋の追っかけと化していましたが、ベストはこれ。見事な丸本狂言でした。橋之助の成長ぶりも著しかったですね。

 

そしてベスト5。

まず第五位

六月博多座大歌舞伎より『積恋雪関扉』

博多座公演から二つ目のランクイン。それだけ素晴らしい公演だったと云う事です。芝翫初役の関兵衛実は黒主。柄の大きさを生かした素晴らしいものでした。これも歌舞伎座で観たいものです。

 

そして第四位

團菊祭五月大歌舞伎より「金閣寺

團菊祭で京屋が出し物をすると云うのも珍しい気がしますが(名前のトップは松緑ではありましたが)、生半のもでは上演されないはず。その意味でやはり雀右衛門の雪姫は素晴らしいものだと業界でも認められていると云う事でしょうか。松緑の大膳もお見事でした。

 

そしていよいよベスト3。

芸術祭十月大歌舞伎より『盲長屋梅加賀鳶』

十月公演から二つ目のランイクン。芝翫初役の道玄、梅玉の松蔵、共に見事なものでした。しかし入りはお寒い限り。これを観ないのは芝居好きの恥だと思うのですが・・・筆者の好みと現代の嗜好がズレでいるのかもしれません。しかし見事な狂言でした。

 

続いて第二位

四月大歌舞伎より『荒川の佐吉』

高麗屋親子による『荒川の佐吉』。松嶋屋の当たり芸を見事に受け継いだ幸四郎白鸚の政五郎も貫禄たっぷり。忘れられない芝居となりました。これは今後幸四郎の当り役となって行くであろうと思っています。いや~泣かされました。

 

そして栄えある(?)令和四年の第一位。

二月大歌舞伎より「御浜御殿綱豊卿」

佐吉とどちらを一位にするか迷いましたが、人間国宝認定に敬意を表して高砂屋の綱豊卿にしました。松嶋屋とはまた違った味の見事な綱豊卿。松緑初役の助右衛門も力演でした。こちらもいつまでも忘れられない名狂言でした。

 

團十郎襲名と云う大きなイベントがあった令和四年の歌舞伎。素晴らしい狂言が幾つも観れました。今年は團十郎襲名ツアーを幾つか観るつもりでおります。今年もいい芝居が沢山観れます様に。