fabufujiのブログ~独断と偏見の歌舞伎劇評~

自分で観た歌舞伎の感想を綴っています

山城屋逝く・・・孝太郎コロナ感染。。。

先日歌舞伎界の大御所、山城屋・坂田藤十郎が88歳で亡くなった。歳に不足はないけれど、やはり悲しい。東京の芝居好きにはそんなに馴染みのある優ではなかったが、一たび舞台に立った時の存在感は別格だった。

 

筆者が最後にその舞台姿に接したのは、去年の四月山城屋の米寿記念「鶴亀」だ。長男の鴈治郎や孫の壱太郎を従え、舞台中央で流石の貫禄を示していた。まさかあれが最後になろうとは・・・。今年正月の大阪松竹で「酒屋」の三勝を観れるはずだったのだが、無念の休演。そのまま舞台に復帰する事はなかった。初舞台以来休演がないと云う人だったから、ご当人もさぞかし残念だったろうが、次男扇雀が熱演で見事にその穴を埋めていた事が、せめてもの救いであったろう。

 

歌舞伎座さよなら公演「熊谷陣屋」の相模、杮落し公演「先代萩」の政岡、三年前に観た「帯屋」の長右衛門・・・舞台の思い出は尽きない。しかしその至芸はしっかり息子・孫に伝えられていると思える事が、筆者にとってせめてもの心のよすがである。勿論その個性は唯一無二だが、今後は成駒家の関西和事の芝居を観るにつけ、山城屋を思い出す事だろう。謹んでご冥福をお祈りします。

 

閑話休題

 

先日驚愕のニュースが飛び込んできた。孝太郎のコロナ感染である。国立劇場の第二部は残りの日程全て中止となった。筆者は千秋楽に観劇予定だったので、結局観れず仕舞い・・・一部は観劇済みだったので、しまった逆にすべきだったか・・・と思っても後の祭りである。

 

現在は自宅療養中との事だが。その健康状態がやはり案じられる。来月の京都南座顔見世公演も控えている。これ以上感染者が広がらず、無事興行が行われる事を祈るのみだ。特に実父松嶋屋は76歳の高齢。万全の策を講じているとは思うが、くれぐれもご自愛をと申し上げておきたい。

 

連日感染者が増え続けており不安は募るばかりだが、こんな時こそ芝居を観て心のウサを晴らしたいと思うのは人情。感染防止対策をしっかり講じた上で、興行の継続を願いたいものだ。

 

来月は歌舞伎座国立劇場に加えて、京都南座も一部のみだが観劇予定。滞りなく興行が行われる事を祈りたい。

 

最後に。今日は三島由紀夫の五十回目の命日である。今その著作を読み返しているところだ。歌舞伎にも縁の深かった大作家。山城屋と併せて、改めて冥福を祈りたい。