今年私が観た歌舞伎の中で、高麗屋襲名狂言以外の独断と偏見に満ちたTOP10をあげて行く。順位はあまりこだわりがないが、この10本と云う感じで。
まず10位
二月大歌舞伎より『暫』
海老蔵はあまり歌舞伎座に出ないので観る機会は少ないのだが、今年ではこれ。久々に海老蔵らしい芝居を満喫。この優の荒事は力強さの中に色気もあり、素晴らしい。来年あたりこの人で弁慶が観たいものだ。
続いて9位
今年最後に観劇した狂言。最近感想を綴ったばかりなので重複は避けるが、播磨屋の奮闘と、雀右衛門の義太夫味が光ったいい狂言だった。
8位
團菊祭五月大歌舞伎より『弁天娘女男白浪』
いや~音羽屋の弁天、素晴らしいと云う言葉も陳腐に聞こえる熟練の芸。来年もまだまだ魅せて欲しいです。
7位
芸術祭十月大歌舞伎より『助六曲輪初花桜』
松嶋屋の助六、カッコよすぎです。古希を過ぎてのこの色気、怪物ですな。来年はこの優でもっと義太夫狂言が観たい。
6位
今まで筆者が観た芝翫のベスト。現大幹部と花形世代を繋ぐ貴重な立役。来年も期待しています。
そしてTOP5
まず5位
芸術祭十月大歌舞伎より『佐倉義民伝』
白鸚の名人芸を堪能出来た狂言。来年は襲名巡業がメインになって、歌舞伎座ではあまり観られないかな。勿論出来る限り巡業も追いかけるつもりです。秋のラマンチャも楽しみ。
そして4位
吉例顔見世大歌舞伎より『十六夜清心』
音羽屋と時蔵の名コンビによる最高の「清心」。これぞ歌舞伎です。この二人の世話物は見逃せませんな。
いよいよTOP3
まず第3位
松嶋屋2つ目のランクイン。松嶋屋しろ、音羽屋にしろ、その至芸の総仕上げを意識していると思う。最高の「俊寛」でした。ラストは今思い出しても切なくなる。
そして第2位
三月国立劇場『梅雨小袖昔八丈』
菊之助初役とはとても思えない新三。いや~色っぽい新三で、これから練り上げたらどこまで行くのか、楽しみでならない。大河や「下町ロケット」出演で一般的知名度もUPした事だろう。来年は「ナウシカ」を歌舞伎化するそうだ。どんな事になりますか。
いよいよ栄えある(?)年間第1位
八月納涼歌舞伎より『盟三五大切』
幸四郎・獅童・七之助と花形三人そろい踏みで、正に当代の「三五」とも云うべき素晴らしい舞台だった。余談だが、獅童が高麗屋襲名に一度も出ていないのは何故だろう?白鸚に権太や富樫を教えて貰っているし、こうして幸四郎とも共演しているのだから、仲が悪いとも思えない。来年の巡業には付き合って、いい芝居を見せて欲しい。
以上極私的平成三十年歌舞伎のベスト10。今年もいい芝居を沢山観る事が出来た。来年も今年に以上に素晴らしい舞台を数多く観たいものだ。