fabufujiのブログ~独断と偏見の歌舞伎劇評~

自分で観た歌舞伎の感想を綴っています

大阪松竹座 閉館・・・

先日驚くべきニュースが入った。

 

大阪松竹座が閉館 来年5月が最終公演 1923年開業・建物の老朽化で(Yahoo!ニュース オリジナル THE PAGE)

 

記事にもある通り、建物の老朽化による建て壊しだと云う。歌舞伎公演自体は他の施設で継続して行くとの事だが、今後の予定は未定らしい。来年の五月公演が最後になる様だ。筆者は今年も二度観劇に訪れたが、本当に寂しい限りだ。鴈治郎が発言していたが、上方の役者にとっては拠り所がなくなる事態だ。大阪松竹座は花道もしっかりあり、歌舞伎を上演するに最適の小屋であった。他の施設では、多分今国立劇場が行っている様な上演形態になり、花道をたっぶり使う様な狂言が出来なくなってしまうのではないだろうか。

 

こうとなったら、残る公演を出来る限り観劇したいと思うばかりだ。こんな場末のブログで幾ら綴っても松竹関係者の方々のお耳に届くとは思えないが、現歌舞伎座の様な、歌舞伎の上演に適した劇場に建て直して頂きたいと、切に願っている。あの上方歌舞伎独特の風合いを感じさせてくれる小屋がなくなるのは、大きく云えば文化面の国家的損失であると思う。そしてそんな小屋がなくなると云う事は、上方役者を育てる土壌が失われてしまうと云う事だ。

 

先日我當の追悼記事でも書いた事だが、高齢の上方名人役者が次々と亡くなり、ただでさえ上方独特の味わいを感じさせてくれる役者が減りつつある現状なのだ。そこへ来て松竹座迄なくなってしまっては、上方歌舞伎はまた以前の様な衰退の途を辿ってしまうのではないか。そうなっては上方歌舞伎復興に生涯を賭けた先々代仁左衛門や、亡き山城屋の苦労も、そして今孤軍奮闘している当代松嶋屋の活躍も水泡に帰してしまうのではないかと、危惧して止まない。建物の老朽化とあれば建て壊しは致し方ない。しかし、何とか歌舞伎を上演出来る劇場として、再建して頂きたい。本当に祈る様な気持ちであると、ここに書き記しておきたい。