fabufujiのブログ~独断と偏見の歌舞伎劇評~

自分で観た歌舞伎の感想を綴っています

私が観た令和三年歌舞伎 極私的ベスト10

明けましておめでとうございます。去年もコロナの猛威が吹き荒れましたが、歌舞伎座は毎月幕が開き、一昨年より多くの芝居が観れた一年でした。またぞろコロナが復活しつつあるのが気掛りですが、何とか無事に毎月の幕が上がる事を祈念しております。恒例の私的年間ベスト10を振り返りたいと思います。

 

まず第十位。

 

二月大歌舞伎より「十種香」

お客の入りはお寒い限りでしたが、令和の御代において、これだけの古風な丸本は貴重。今まで観た魁春のベストでした。

 

続いて第九位

 

四月大歌舞伎より『桜姫東文章

玉孝共演の見事な「東文章」。もっと上位だろうと云う声も聞こえてきそうですが、玉孝ならこれくらいはやってくれるだろうと思っていたので特に驚きはなく、この順位。しかしやはり素晴らしいものでした。

 

八位・七位・六位は続けて

 

初春大歌舞伎より「車引」

十二月大歌舞伎より『ぢいさんばあさん』

南座顔見世興行より『蜘蛛絲梓弦』

新年早々に観た高麗屋三代の「車引」、絶品でした。年代記物と云うのはこう云う出し物を指すのです。年末に観た『ぢいさんばあさん』。今年の菊之助のベスト。泣かせて頂きました。そして南座の『蜘蛛絲梓弦』。愛之助幸四郎の組み合わせの素晴らしさ。歌舞伎座での再演を期待しています。

 

そしてトップ5。まず五位。

 

国立劇場十一月歌舞伎公演より「熊谷陣屋」

芝翫型の熊谷。襲名でも演じていましたが、増々素晴らしい物になっています。芝翫は正に絶頂期にさしかかっていると思われます。

 

続いて第四位

 

九月大歌舞伎より「盛綱陣屋」

基本播磨屋型をペースにした見事な「盛綱陣屋」。去年も幸四郎、絶好調でした。丑之助の好演も光りました。

 

いよいよトップ3。まず第三位

 

四月大歌舞伎より『絵本太功記

去年の芝翫のベスト。正に絶品とも云うべき「太十」。時代物役者芝翫の真骨頂を見せて頂きました。今年も芝翫の丸本には期待大です。

 

そして第二位

 

八月花形歌舞伎より「義賢最期」

去年の幸四郎のベスト。芝翫に負けず劣らず、メキメキ丸本の腕を上げている幸四郎。今年も更なる飛躍を期待しています。

 

そしていよいよ第一位

 

十二月大歌舞伎より『信濃路紅葉鬼揃』

何と舞踊劇になりました。しかしとんでもなく素晴らしかった。個人的には近年の大和屋のベストです。改めてこの優の偉大さを目の当たりにしました。

 

師走の芝居が三本入り、やはりどうしても近々に観た物が中心になってしまいます。それ以外では、右近のお嬢吉三、高麗屋親子の『勧進帳』、玉孝の「四谷怪談」、などいくつも印象に残る芝居がありました。その一方で、秀太郎播磨屋と云う巨星がいなくなってしまった残念な一年でもありました。今年は皆無事に一年を過ごして欲しいものです。

 

こんな感じで今年もマイペースでゆる~く綴って行きます。宜しくお願い致します。