fabufujiのブログ~独断と偏見の歌舞伎劇評~

自分で観た歌舞伎の感想を綴っています

私が観た平成三十一年・令和元年歌舞伎 ベスト10

今年も劇場に通い続けた一年でした。同じものを二度以上観劇したものも含めて、歌舞伎が全44公演。これに『ラマンチャの男』と『オイディプス』の現代劇、『オグリ』のスーパー歌舞伎、ミュージカルの『ふるあめりかに袖はならさじ』を合わせると48の舞台を観れた。財政的には破綻の危機だが(月平均4公演!ヤバいっす・・・)、好きな物は仕方がない。以下、極私的今年のベスト10をあげたい。順位はそんなに重要視しておらず、まぁ今年の特に印象的な10本と云う事で。

 

まず10位

十二月大歌舞伎より『神霊矢口渡』

観たばかりと云うのも大きいが、花形全力投球のいい舞台でした。義太夫狂言がしっかり受け継がれている様を観れたのは、本当に嬉しかった。

 

続いて9位

八月納涼歌舞伎より『伽羅先代萩

個人的に令和の「孝玉」と思っている幸四郎七之助の共演。七之助の政岡、幸四郎の仁木、共に申し分なし。二人で練り上げて行って欲しいです。

 

8位から6位は続けて行きます。

8位

團菊祭五月大歌舞伎より『神明恵和合取組~め組の喧嘩』

7位

三月大歌舞伎より『近江源氏先陣館~盛綱陣屋』

6位

南座九月花形歌舞伎より『東海道四谷怪談

今年の音羽屋は何と云っても「め組」。これぞ江戸の粋。最高でした。松嶋屋の盛綱は流石十八番。名調子に酔わされた素晴らしい舞台。南座でのお岩様の通しは、こちらも初役の七之助が奮闘。中車も歌舞伎で存在感を増してきています。愛之助の色悪は正にニンでした。

 

続いてはベスト5。まずは

5位

秀山祭九月大歌舞伎より『伊賀越道中双六~沼津』

今年の播磨屋はこれに尽きます。「降らねばよいが」の科白が今でもしみじみ心に残っています。播磨屋休演による幸四郎の代演も観て見たかったですが。

 

お次は4位

大阪松竹七月大歌舞伎より『義経千本桜~渡海屋・大物浦』

真夏の大阪で圧倒された松嶋屋の今年のベスト。知盛が憑依したかの様な大熱演。遥々大阪まで出向いた甲斐があったと云うものです。

 

いよいよトップ3の発表(そんな持って回った云い方する程の事ではないけど)。

まず3位

團菊祭五月大歌舞伎より『京鹿子娘道成寺

国立での「関の扉」もとんでもなく素晴らしかったけれど、今年の菊之助はこれですね。いやぁ最高の花子でした。手拭もゲットできたし。

 

続いて2位

壽 初春大歌舞伎より『一條大蔵譚~檜垣・奥殿』

平成最後の年の幕開けを飾った白鸚渾身の大舞台。しかも何と47年ぶりに演じたと云うから驚き。それでこれほどの出来とは・・・白鸚恐るべし。

 

そしていよいよ年間1位

国立劇場十二月歌舞伎公演より『近江源氏先陣館~盛綱陣屋』

「大蔵卿」とこちらのどちらを1位か迷いました。最近観たばかりなので印象も強く、こちらを1位としましたが、どちらも甲乙つけ難い舞台でした。この「盛綱」も28年ぶりで演じた白鸚。年の初めと終わりに、凄い舞台を見せてくれました。当代最高の丸本役者・白鸚、来月の「河内山」も楽しみです。

 

以上、思いつくままにあけだ今年のベスト10でした。改めて見てみると、海老蔵が入っていない・・・、好きな優なのですが、こちらの期待が高すぎるのか。来年は愈々團十郎襲名。トップ10を独占するくらいの芝居を見せて欲しいです。令和二年も、素晴らしい舞台が数多く観られる事を願っています。